屋根の連なり
- FRACTUS 編集部

- 2025年2月27日
- 読了時間: 2分
瓦葺きの屋根は奈良時代に建てられた仏教寺院から始まります。中国の影響を受けた威風堂々とした佇まいですが、平安時代以降は脱中国、国風化の影響もあり、すこし穏やかな表情を見せ始めます。基本的に、外交的にオフィシャルな建物は瓦葺きで、付属の施設はこけら葺きや檜皮葺を用いる傾向があるようです。しかしながら、宮廷の公式行事が行われる紫宸殿は檜皮葺きであることが、日本人の美学と対中国意識を、どうも掴みきれないものにしているようにも感じます。

写真は滋賀県近江八幡市の長命寺です。創建は景行天皇の時まで遡るという言い伝えもありますが、比叡山の別院としての側面が強く、天台寺院として崇敬を集めています。三重塔はこけら葺きで本堂などは檜皮葺。高台にある鐘楼からは、屋根の連なりを一望できます。降った白い雪が屋根先端の反り返しを際立たて、屋根全体の緩やかな曲線と高低差が生み出すプロポーションに魅せられます。
屋根の形状からもいにしえの日本人の美意識の一端を垣間見られるのが面白いところ。中国とつかず離れずのテクニックを巧みに繰り返し、独自の文化を形成してきた日本人。いまその視点は主にアメリカに向いていますが、次世代へのテクニックの伝達は上手くいっているようにも思います。

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