自然と人の距離
- FRACTUS 編集部

- 2025年2月28日
- 読了時間: 2分
いま「多自然」というキーワードが、妙に気になる。

ひとつは「協生農法」という言葉。農薬はやらず、さらに耕さず、水やらず、雑草も刈らず、というちょっと信じられない農法が注目を集めている。果実の樹や葉もの野菜、玉ねぎや人参など多様な種類を協生させるのだ。そこにあるものを「そのまま」活かすことが重要らしい。本来土にいる菌などの微生物や昆虫などもそのまま。野菜を食べる害虫をまた食べてくれる虫も居ることで野菜の害は最小限で済むらしい。穫れる野菜は健康で味が濃く、さらに収穫した野菜の穴跡が空気を吸い込み、土壌がさらに元気なり、畑を続ければ続けるほど良い循環がうまれる農法のようだ。
農薬で害虫を完全に駆逐する、0か100かの二元論ではなく、ある程度のダメージは受け入れるというのがポイントなのかもしれない。個人的に興味を引くものであるが、日本の人口1.2億人を賄えるのかが気になるところで、追々追跡していきたいテーマ。

もうひとつは『自然という幻想』という本。 環境をうたった内容だが、「自然」という言葉について考えさせられる言葉が散りばめられている。私たちはよく「手付かずの自然」や「原生林」など、人を寄せ付けない純な自然を崇める傾向にあるけれど、本当にそれは正しいのか?と、クエスチョンを突き付けてくる。今までの自然保護のあり方を批判し、人工を含めた「多自然」を提案するもの。確かに、里山の美しい風景を眺めても、純な自然はほとんど無いし、山も植林や山焼きなどの手が入っていることが多い。湖や干潟なども、実は中世の工事によってかたちづくられていたりする。自然や文化を守ることは変わらず重要なテーマであるが、現代における適切な視点を再度考える機会を与えてくれた。
参考文献『自然という幻想』 エマ・マリス 著 /岸由二 訳 /小宮繁 訳 草思社
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